CROSSTALK VOL.03

僕らの怒鳴りは“ハラスメント”なのか

ベテラン対談

「昔は良かったなあ」では、仕事は前に進まない。入社40年の角と、30年の菅。移り変わる時代の中で会社を支えてきた2人に、昔と比べながら冨田電機工業の現在地を語ってもらった。

  • 角 佳介

    九州営業所 所長

    角 佳介

  • 菅 俊雄

    電気設備工事(施工管理、人員配置)

    菅 俊雄

僕らの怒鳴りは〝ハラスメント〟なのか

菅 俊雄

最近は何かというと「ハラスメント」で、ロクに話もできませんよ。

角 佳介

まぁまぁ。
ウチも昔とは違うから、単に理不尽なシゴキとか、そういうのはないですよ。でも、現場で予定と違う動きをしてる部下に「何やってんだ!」って大声出すみたいなのは、今も普通にあるね。

菅 俊雄

それは、予定外の動きをしていたらケガにつながる恐れや、限られた時間を大幅にロスする可能性があるからです。
これね、こんなこと言ったら、周りから厳しいって言われるかもしれないけど……。

角 佳介

何、いいよ。言いなさいよ。

菅 俊雄

たとえば、工事中にラップルート(※)が違ったって発覚したとしますよね。当然作り直すわけで、作ったものを一度壊してまた作るわけだから、3倍時間がかかるでしょう。
これが短い工期の中で発生すると、完工しない可能性が出てくるわけで。

※電気ケーブルを安全に配置し、まとめて保護するための構造物の経路を「ラップルート」といいます。設計図などに記載されており、現場で正しく読み取って設置しなければなりません。

角 佳介

そりゃそうだ。

菅 俊雄

若手を現場で教育する必要はありますけど、教えられる状況じゃない時もありますよ。

角 佳介

作業員と別に教育係をつけるにしても、今は人員の余裕もないからなぁ。

菅 俊雄

ウチに入社してくれた仲間は、もちろん指導する対象ではあるんだけれども、お客様ではない。だから広い現場で、土だらけの軍手でスマホが使えるわけもなく、遠くで違う作業を始めた時に「危ない」「辞めろ」と伝えるには声を張り上げる以外の手段がないんですよ。

角 佳介

大事にしてないわけじゃなく、ただ、現場の工期と品質を守るための動きを最優先にする時があるって話だね。

菅 俊雄

そう。でもさっき角さんが言った通り、環境が変わってきてはいるんです。我々が入った頃はロクに定まってない職務規定の書類が渡されてたけど、今やそれが4倍くらいの分厚さになってて。

角 佳介

社長が、会社として足りない部分を取り入れて、時代に合わせて整えていこうって考えだからね。

電気や工事に興味がなくても活躍できる?

角 佳介

我々は結構気質が似ていて、自分の手でモノを作るのが好きなんですよ。若い時は一緒によくラジコンやったりしたよなあ。
でも今は、電気とかモノ作りに興味がある人は少ないね。

菅 俊雄

そうですね。興味があれば、現場で色んなことに気がついて技術の習得も早いと思いますけど。
でも僕は、仕事で活躍したり長く働いたりするには、モノの見方が大事な気がします。

角 佳介

モノの見方?

菅 俊雄

オニオンスライスが嫌いでも、タマネギを炒めたり煮たりしてあるのは食べれるって人、いるでしょ。それと同じで、嫌いな仕事も見る角度を変えたら感じ方も変わる。

角 佳介

なるほどね。電気工事なんて業務の幅が広いから、色んな見方があるだろうよ。

菅 俊雄

そういうモノの見方は、自分でしっくりくるのを探すしかなくて、誰かから教えられるもんじゃないんですよ。

角 佳介

そりゃ、上司が教えることに限界はあるだろうよ。やり方を教えて仕事を任せる、いわゆる“道案内”はできるけど。ちょっとでも湧いた好奇心や興味をどんな風に突き詰めていくかは、口出してもしょうがない。
でも、ドームのメンテナンスなんかを任せてるウチの部下の話だけどさ。

菅 俊雄

はい。

角 佳介

彼には他の現場の管理もしてもらっていて。苦労しながらも、だんだん成長してきてるし、入ったばかりの頃より楽しそうな顔するようになった。

菅 俊雄

「任されたから、期待されてるから、やらなくちゃ」って気持ちから仕事に興味を持つことも、あるのかもしれないですね。

角 佳介

そうそう、だからさ。最初から興味があるかと、働き続けて活躍出来るかは、別に関係ないのかも知れないな。